はじめに

電気コラムでは、弊社で製造している分電盤・制御盤について解説しています。
TCSブログで連載中のコラムの一覧も掲載しておりますので、ぜひご活用ください!

弊社では分電盤と制御盤を取り扱っておりますが、そもそも『分電盤』と『制御盤』って?と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。日常で聞きなれない単語だけに、どんな製品を製造しているのか、なかなかイメージのし辛い部分かと思います。
ここではそんな疑問を解消するべく、分かりやすく解説していきます。

実は分電盤も制御盤も、私たちの生活に切っても切れない存在なんです。

分電盤

雷が落ちたときや、家電製品を使いすぎたとき、部屋が真っ暗になる経験をしたことはありませんか?
そんな時は暗闇の中、懐中電灯を頼りにブレーカーを上げに行きますよね。
このブレーカーの入った箱、これこそが分電盤です。

家庭用の分電盤

分電盤には主に2つの役割があります。
それは『電気を分けること
そして『電気事故を防ぐこと。

私たちが気軽に電化製品や電子機器を使えるのは、実はこの分電盤のおかげなんです。

分電盤は文字通り、電線から引いてきた電気を分ける役割を持っています。
電線から電気を引いてくる、ってどういうこと?と思われた方はTCSコラム「(1)電線編」「(2)配電編」をご覧ください。

電線から引いてきた100Vまたは200Vの電気を分電盤でさらに小分けにし、お家の各場所に配布します。

例えば、「リビングだと照明が多いから多めに電気を分けて…」「子供部屋は日中、誰も電気を使わないからあまり電気がなくても大丈夫だな」等々、部屋の電力消費量を元にどれぐらいの電気を配るかを決めます。

大は小を兼ねるとは言いますが、あまり使われない部屋にたくさん電気を引いても意味がありません。大きな電気を引くためには大きな機器も必要になりますから、お値段も高くなってしまいます。
ですから、適正な電気を振り分けてやる必要があるのです。

分電盤の最重要の仕事は「電気事故を防ぐ」ことです。

ここで分電盤の構造をざっくりと見ていきましょう。

アンペアブレーカー

分電盤の一番根元についているブレーカーです。電力会社と契約した容量のブレーカーが設置されています。
例えば40Aで契約している場合、40A以上の電力を使うと遮断されます。
家中が真っ暗になってしまったなら、このブレーカーが作動した可能性が高いです。

漏電遮断器

漏電遮断器は文字通り漏電を検知すると電気を遮断するブレーカーです。

電路に何らかのトラブルが発生し、物や人を通して地面に電流が流れることを「地絡」と呼びます。
地絡は物を通る「漏電」と人を通る「感電」に分けられます。
漏電は火事や感電の原因になりますし、感電は人の命を危険に曝すことになります。

漏電遮断器は、地絡が発生したときに人間に危険が及ばないように電気を遮断してくれるのです。

配線用遮断機

「仕事① 電気を分ける」でもありましたように、分電盤は各場所に電気を分けています。そして各場所にはそれぞれブレーカーが取り付けられているのです。
例えば、リビング回路用の遮断機、子供部屋回路用の遮断機…といった風です。

これらは電気を使いすぎた時や、回路のショートなどの危険な事故が起こったときに作動し、電気を遮断してくれます。

そんなわけで、分電盤とは電気を使ううえでは絶対に切り離せない存在です。いつも側にあり、私たちの便利な生活を支えているのです。
分電盤は各ご家庭だけでなく、公共施設、工場など、ありとあらゆる施設で利用されています。

弊社では施設向けの大型の分電盤製作を行っています。
家庭用の物とは異なり、非常に大きなサイズで付属機器も多いのですが、電気を配る・電気事故を防ぐという目的はご家庭用の分電盤と変わりません

規模に関わらず、分電盤は電気を使う際のお供なのです。

制御盤

さて、馴染みもあって分かりやすい分電盤の次は制御盤です。
こちらは分電盤と違い、直接目に触れるわけではないので少し分かりづらいかと思います。

結論から言えば、制御盤の目的は「作業を電気回路に置き換えること」です。
ただ、この言葉だけでは分かりにくいので、例を挙げて見ていきたいと思います。


さて、説明に当たってTCSクッキーを量産する場合を考えてみたいと思います。
このクッキーは弊社の製品として大量生産するつもりでいます。

製品を作るにあたって必要な工程はいくつかありますが、今回は

①材料を投入する
②材料をこねる

この二つを見ていきます。

(あくまで例ですので、その他の作業手順は省略します。)

前述したようにこちらのクッキーは大量生産するつもりでいますので、全部の作業を自動で行わせたいと思っています。
ですが、実際に自動化しようと思うと上手くいきません。
というのも、一つの工程だけで様々な問題が出てきてしまったのです。


①材料を投入するにおいて


①においては、

・材料を入れるボールが定位置で止まらない。
材料が止まらない。材料が無限に投入されてしまう。
・材料を入れ終わったボールは(2)の工程まで移動させたい。

などの問題・要望が出てきてしまいました。
これらに対処し、作業を自動化するのが制御盤です。


①を解消するために

①を解消するために制御盤で行うことは以下の三つです。

・定位置で止めたい
センサーをつけて定位置に来たら止まるようにする

材料が止まらない
センサーをつけて一定量が投入されたら止まるようにする

・②の工程まで移動させたい
作業が終了したことを感知し、自動でコンベアーが流れるようにする。


これらをプログラミングし、制御盤で一括制御することによって、
①の工程では「定位置で止まったボール」に「一定の量の材料を投入」し、それが終わったら「自動で②の工程までボールを移動させる」ことができるようになります。


このように、制御盤を用いることによって、一連の作業を自動化することができます。
つまり制御盤とは、作業を電気回路に置き換え、自動で制御すること、と言えます。

 

こう聞くと随分複雑に思えるかもしれませんが、制御盤は実に様々なところで使用されています。工場、公共施設など多くの場所で私たちの便利な生活を支えているのです。

制御盤はこんな箱に入り、人目のない場所でひっそりとお仕事をしています。

もし機会があったのならば、これが制御盤か!と見つけてみてくださいね。


弊社では制御盤の設計・製作から設置工事まで行っております。
盤製作のご依頼がございましたら、お問い合わせよりお気軽にご相談ください。