【モータ編(2)】やさしく読み解く電磁誘導!電気はどうやって生まれる?

こんにちは、東北制御です。

本日は「モータを学ぶ前に知っておきたいこと」の第二回目になります。
前回【モータ編(1)】誰でもわかる電磁石!磁界と電気の関係を知るでは電気が磁石になるという、電磁石のおはなしでしたが、今回はその逆です。
すなわち、磁石から電気も発生するんじゃないか?ということで、テーマは「電磁誘導」になります。

磁石から電気を生み出した電磁誘導

このあたりの法則が発見された当時、エネルギーは無から生まれるのではなく、それぞれが変化し合って成り立つものなんじゃないか?と考えられるようになってきていました。

例えば、熱は何もないところから突然「熱い!」と生まれるのではなく、電気エネルギーが変換されたり、何かを燃やす(=何かの持っていたエネルギーが変換される)ことによって生まれるのでは?と考えられたのです。
これは実際に正しく、後に質量保存の法則になりました。

この考え方を応用し、電気が磁石になるなら、磁石から電気を生み出すこともできるのでは?と考えられました。
これが電磁誘導の始まりです。

 

電磁誘導のはじまり

ファラデーの実験と呼ばれるものがあります。
これは、コイルに磁石を出し入れして磁界を乱すことで、電流が流れることを証明するためのものでした。

理科の実験でお馴染みですね。

結果はご存知の通り、電流が流れました。磁束の変化により電流を流すことができる、と発見されたのです。
つまり、磁石から電気が作れると証明されたのです。
これにより、発電の技術が発展していくことになりました。

 

 

電磁誘導二つの法則

さて、ここからは電磁誘導について詳しく見ていきましょう。
まず、この電磁誘導で生じる電力のことを、誘導起電力と呼びます。
ここで発生する電力には、二つ、法則があります。

(1)コイルを通る磁束の時間当たりの変化量に比例する

何を言っているか分かりにくいですが、要するに、発生する電力の大きさは、磁束がいっぱい変化するほど大きくなるということです。
磁石をゆ~っくり動かすより、ビュンビュン素早く動かしたほうが、発生する電力は大きくなります。

 

(2)コイルを通る磁束の変化を妨げる向きに働く

これは少し分かりにくいですね。

前提として、「自然は均衡を好む」という大きな法則があります。何か片一方に大きな力が働くと、それを打ち消すような反対の力が作用するのが自然法則の常です。
これは磁力にも同じことが言えます。
いきなり磁束を変化させると、なんとか元に戻そうとして、反対の力が働きます。

誘導起電力が流れる向きにも、この法則が適応されます。

(1)磁石が離れるとき

N極を離すと、もともとあった磁束が減ってしまいます。

ですが自然的には、磁束が減ってしまうのはイヤなので、なんとかして磁束増やしたろ!と力が働きます。
なので、磁束と同じ向きに力が働き、電流もこの向きに流れます。

 

(2)磁石が近づくとき

N極を近づけると、今度は磁束が増えすぎてしまいます。

ですがやっぱり自然的には、磁束が増えてしまうのはイヤなので、なんとかして磁束減らしたろ!と力が働きます。
なので、磁束と反対の向きに力が働き、電流もこの向きに流れます。

この二つの法則はレンツの法則と呼ばれています。この辺りは高校物理の範囲でしょうか。
教科書で見るとややこしいことこの上ありませんが、考えていくと意外にシンプルです。

 

 

電磁誘導と発電

さて、こんな感じで電磁誘導が起こるわけですが、これを生かしてたくさん電気を作れるようにしたいですね。
そう、発電です。
磁石から連続的に電気を作り出す良い仕組みは何かないものでしょうか。
さらっと発電の仕組みを見てみましょう。

 

前項で「電気が発生するためには磁束を変化させないといけない」ということが分かりました。
一方、今回は電気を継続的に取り出したいわけですから、磁束を変化させ続けなければいけません。
そのために作りたるはこんな装置です。

なんだか見た事のある装置ですね。

この中心のコイルを回転させることで、磁石間の磁束を変化させ、継続的に電力を生み出すことが出来ます。
(ちなみに、どうやってコイルを回転させ続けるの?という疑問に関しては、火力発電等、実際の発電を見ると分かります。これについてはまた後日、別記事にてご紹介します。)
とにもかくにも、何かの力でコイルを継続的に回転させているわけです。


しかしこの装置ですと、真ん中のコイルが180度回転するたびに電流の向きが変わってしまいます。
これが交流において電流の向きが一定ではない理由なのですが・・・。
やや複雑になるため、この解説は直流モータのお話しをした時にご説明します。

今は、発電はこのように、コイルを回転させることで行われるとご理解ください。

 

 

まとめ

今回は、磁石から電気を作り出す電磁誘導のおはなしでした。
発生する電力を誘電起電力と呼び、二つの法則に基づいた性質がある、ということでしたね。
少し教科書的なのでつまらないかもしれませんが、読み解いていくと意外に面白いものです。ゆっくり理解していきましょう!


次回はさらに進みます。
第一回では電流が磁石になることを知り、今回は磁石のなかでコイルを動かせば電流が発生することが分かりました。
それなら磁石と電流を使えば、コイルを動かすことができるのでは?
そんなわけで、次回は電磁力のおはなしです。
【モータ編(3)】電磁力!磁石と電気で物を動かすことができる?【TCSコラム】


東北制御でした。