【モータ編(3)】電磁力!磁石と電気で物を動かすことができる?
こんにちは、東北制御です。
モータ編も今回で三回目ですが、今回もまだモータには辿り着きません。
ですがほぼほぼモータのおはなしです。ここを抑えれば次回以降の理解が格段に楽になります。
今回は「電磁力」のおはなしです。
電磁力って?
第一回の「誰でもわかる電磁石!」では電流が磁石になることを知りました。
次の第二回「やさしく読み解く電磁誘導」では、磁石を使って電流を発生させることに成功しましたね。
コイルを回転させ、磁束を乱すことでも電流が発生したわけですが・・・逆に、電流と磁石を用いて物を動かすこともできるのではないでしょうか。
そんな発想の元で発見されたのが電磁力です。
しかしもって、なぜ電流と磁界から力が生まれるのか・・・その原因を探っていきましょう。
力が生まれる理由
前回までと同じように、図を見ながらゆっくり考えていきます。
今、二つの磁石の間に、電流の流れる導体を置いたところを想定します。
こんな感じです。
この導体をちょんぎって、Aから見た場面を想像してみましょう。
各場所の力はこのように働いています。
第一回と同じようにこれらの力を纏めてみましょう。
重なる部分の磁界は密になり、打ち消しあう部分の磁界は疎になります。
するとこんな感じになります。
ですが第二回でも出てきたように、自然は元の状態に戻りたがる性質があります。
片一方に大きな力が働けばそれを打ち消すように働き、片一方の力が弱まれば、それを補うように働きます。
今回の場合もそうです。
磁界は均衡な状態に戻ろうとするため、密だった部分が疎になった部分に流れ込もうとし、上向きの力が働きます。
ちょうどバネのようなイメージでしょうか。
電磁力はこのようにして発生します。
便利なフレミング左手の法則
電磁力の発生する理由は分かりました。
確かに順を追って考えていくと、力がどちらに働くか分かるのですが、逐一こんなことを考えていたら大変ですね。ごちゃごちゃになってしまいそうです。
ここで登場するのが教科書でおなじみ、フレミング左手の法則です。
非常に指が辛いことに定評のあるこの体勢ですが、用いることで簡単に力の向きを知ることができます。
親指から力、磁界、電流の向きを指しています。
ちょっと分かりにくいかと思うので、実例を見てみましょう。
このような場合、どの向きに力が働いているかお分かりになりますか?
実際に手を動かして、自分で確認してみましょう。
答えはこちらです。
そう、下向きです!
第一回でも見たように、磁束はN極からS極に向かうので、この図だと左から右に向かいます。
それに電流の方向を当てはめてやれば、自ずと力の向きが分かるはずです。
この法則を使えば、簡単に力の向きを知ることができますね。
難点といえばちょっと指が辛いことだけです。
ちなみに、フレミング右手の法則というものも存在しています。
こちらは誘導起電力の方向を求めるために使われ、中指が起電力の向きを表します。
なお、余談ですがこの法則、学生たちが各力の向きを理解するのに苦しんだため、大学教授のフレミング氏が考案したものだそうです。
おかげで簡単に向きが分かるようになったわけですから、ある意味偉大な発明ですね。
おわりに
今回は電磁力のおはなしでした。
電気と磁力で物を動かす原理まで来ましたので、モータのおはなしは目前に迫っております。というより、ここまで理解できたのならモータを理解したも同然です。
次回は直流モータの仕組みを見ていきましょう。
大丈夫、簡単です!
東北制御でした。