【モータ編(4)】直流モータの原理を知ろう!誰でもわかる直流モータ

こんにちは、東北制御です。

第四回目にして、ついにモータのお話です。
長らく前準備に時間が掛かりましたが、第三回までを理解できていれば簡単です。
なお、モータにもいくつか種類があるのですが、今回は簡単な直流モータから参りましょう。

直流モータの仕組み

さて、前回までの復習をしましょう。
電磁石、電磁誘導、電磁力と来たわけですが、モータで使うのは電磁力ですね。
今回の目的は、電気と磁力を利用してコイルを回転させることです。
コイルを継続的に回転させるにはどうすればいいか、考えていきましょう。

 

 

直流モータの構造

直流モータはこんな形になっています。前回でも似た図が出てきましたが、今回は磁石の間に電線ではなく、コイルを置きます。


教科書でもおなじみの図ですね。
真ん中のコイルを回転させ続けることが目的です。

 

電流の向きと磁界

今、電流は図中のA→B→C→Dの向きに流れています。なお、電流がプラスからマイナスへ向かうというのは、「直流とは?」でも出てきましたね。
また、前回まで見てきたように、磁界はN極からS極へ向かうように働きます。

 

フレミング左手の法則

ここでフレミング左手の法則を参照しましょう。前回やったことは覚えていますか?
親指から、力・磁界・電流でしたね。

やっぱり指は辛いですが、実際に動かしながらやってみましょう。

 

力の向きを知る

こちらを先ほどの図に当てはめると、こんな形になります。

力は下向きに働いていることが分かりますね。

一方、逆側のCD間では電流が逆向きに流れていますが、磁界の向きは同じです。
同様に考え、左手をぐるっとひっくり返してあげると、こちらでは上向きの力が働いていることが分かります。
片側に下向きの力、片側に上向きの力ですから、コイルはぐるりと回転します。
結果、180度回転することになります。

 


今、コイルは最初とは反対の向きになっています。
ですが、ここで整流子が力を発揮します。整流子があるために、コイルの向きが変わっても電流の向きは変わらないのです。

ですので、先ほどと同様にCD間では下向きの力が働き、AB間では上向きの力が働き・・・となり、再び180度回転し、以下その繰り返しとなります。
このようにして、モータは延々と回転を続けます。

 

(6)整流子と電流の向き

この中で大切な役割を果たしているのが整流子です。もしなかったなら、コイルは回転するたびに電流の向きが変わってしまいます。
すると働く力の向きも反対になるので、180度ごとに回転の方向が変わってしまうのです。

 

とても困りますね!これを防ぐため、整流子が用いられているのです。

 

 

交流発電機の仕組み

さて、ここで第二回やさしく読み解く電磁誘導!電気はどうやって生まれる?に話を戻しましょう。
今回見たのが電磁力によるモータ、第二回に見たのが電磁誘導による発電なので、使用する法則は違います。
ですが、考え方は共通です。今回使った方法を応用すれば、簡単に分かりますよ。

※電磁力と電磁誘導がごちゃごちゃになってしまわないよう、ご注意ください。
モータはコイルを回すことが目的で、発電は電気を発生させることが目的です。同じような装置を使っていても、目的がまったく違います。
先ほどまで見てきたのがモータで、今から見ていくのが発電機です。

 

まずはこちらの図をご覧ください。

第二回にて登場した、交流発電機の図ですね。各場所の力は図のように働きます。
今回は電磁力ではなく、誘導起電力を求めたいので、フレミング右手の法則を使用します。フレミング左手をひっくり返しただけで、ほぼ同じです。

この場合は中指が誘導起電力(要は電流)の向きになります。

こちらを利用して起電力の方向を求めたのが、以下の図です。

 

ここからは少しややこしいので、細かいことは考えず、「電気は+からーに向かって流れる」ことだけを意識してください。
先ほどの図(1)が180度回転した場合を考えてみましょう。

図(2)でも磁界・コイルの回転する方向共に変わらないので、電流の流れる方向も変わりません。
ですが、コイルは(1)から180度反対になってしまっています。


しかし、それぞれが接触しているスリップリングは変わりません。
ABにはaの、CDにはbのスリップリングが接触しています。
しかし「電気は+からーに向かって流れる」ので・・・


コイルが反転するごとに電極が変わってしまうのです。
今まで何回も「交流は向きが一定ではない」というお話しをして参りましたが、これこそがその理由です。


ちなみに、交流のグラフが波打った形になるのは、コイルの向きが関係しています。

コイルが垂直になったときには電流は0になり、水平を向いたときに電流が一番大きくなるのです。

 

 

おわりに

本日は直流モータと、ついでに交流発電機のおはなしでした。
ややこしいので、頭がごちゃごちゃになりかねませんね。そんな時は、ゆっくりひとつひとつ考えていきましょう。
整理していけば意外となんとかなります。

次回はこの原理を理解したうえで、交流モータの仕組みを追っていきましょう。
一つ一つ丁寧に解説していきますのでご安心ください。

東北制御でした。