【モータ編(1)】誰でもわかる電磁石!磁界と電気の関係を知る
こんにちは、東北制御です。
本日からはモータの話に入っていきたいと思います。
ですがその前に、前知識として磁界と電気の関係性について学んでおきましょう。
モータの鍵を握るのは、ズバリ磁石の力です。
本日は「電磁石ってなに?」をテーマに、磁界について見ていきましょう。
磁界とは何か
磁界は磁石の力(磁力)が働いている場所のことを言います。そしてその力がどの向きに働いているかを示したものが、磁力線です。
一般に、N極とS極の磁力線はこのような形になります。
これを見れば分かるように、磁石のN極からS極へ向かうように力が働くのですね。
電気は磁場を作る
これだけでは電気と何も関係ありませんが、電気には磁場を発生させるという面白い性質があります。
一番基礎的な考えは、「導線に電流を流すと、その導線の周りに円状の磁場が発生する」です。要は、電流の周りには磁場が発生する、ということですね。
電気を流すとそこには磁石の力も働くと考えてください。
教科書では右ねじの法則、なんていうものが載っていますね。
これを使うことで、電流の周りに働いている磁場がどんな方向に向かっているかを理解することができます。
具体的には、電流の進む方向=ねじの向きとすると、ねじを締める向きに磁場が作られる、ということです。
ねじは右回転させると締まるように出来ていますから、磁場は電流に対して右向きです。
このように、電流を囲むように、右回りの円状に磁場ができます。
ちなみに、なんとなく感覚で分かるとは思いますが、電流に近いほど磁場は強く、遠いほど弱くなります。電流から離れれば磁場は弱くなるのです。
今回は一本の線に電流を流したときの磁場を見ました。
じゃあそれが、輪っか状になったらどうでしょう。次はコイルの磁場はどんな形になるのかを見ていきます。
コイルの磁界
コイルをぐるぐる巻きにしたソレノイドと呼ばれるものを見る前に、まず一巻きにしたコイルを見てみましょう。ちなみにコイルとは、先ほどまで見てきた導線をぐるっと円形に丸めたもののことを言います。
形は複雑になりましたが、原理は同じです。この導線には円状で右回りの磁界がそこかしこに発生しています。こういう感じですね。
別々に書けばこうなるわけですが、これを纏めたらどんな図になるでしょうか。
ここで、A点とB点を切り取って、断面を見た時を考えましょう。
導線の内側では、常に上向きに磁界が発生していることが分かります。加えて、導線から離れるほど円が大きくなるので、カーブもなだらかになります。
また、渦を巻いている関係上、導線に近い場所ではくるりと丸まった磁界になることが分かりますね。
これらを纏めたものが、この図です。
おお、見た事のある形ですね。漠然とこの形になると言われても釈然としませんが、一つ一つ追っていくと、なるほど、確かにこの形になるようです。
ソレノイドの磁界
一巻きコイルの磁界が分かったところで、さらにぐるぐる巻きにしたソレノイドを見ていきましょう。
この隣り合ったコイルがどういう磁界を作るのか、いまいちピンと来ませんね。じっくりと見ていきましょう。
まず、中央は先ほどと同じようにまっすぐ磁力線が貫く形になりそうです。問題は隣り合ったコイルですね。
ここで、A点とB点を例に考えてみます。
AとBを拡大し、真正面から見た図を想像してください。
この隣り合ったコイルですが、一つ一つの磁界は、やはり電流に対して右向きの円状に発生します。
これが隣の磁界とどんな影響を与え合うかというと・・・
磁場の中心で、右向きに進む磁界と、左側に進む磁界が衝突します。反対同士の力をぶつけると、磁力は打ち消しあうので、結果的にこのような形になります。
それが延々と隣同士で起こるわけですから、どんな形になるかというと・・・。
こうなります。やっぱり見たことのある形ですね。
この形を見てお気づきになることはありませんか?
そう、実は冒頭で出てきた磁石と同じ磁力線なのです。
コイルをたくさん巻き、そこに電流を流すと磁石と同じ効能を持つようになるんです。
さらにこのソレノイドに鉄心を入れると、磁束が増え、磁界も強くなります。
こうして電気の力で得られた磁石のことを、電磁石と呼びます。
ちなみにもっと磁石力を高めたい!と思ったときには、コイルの巻き数を増やし、直径を狭くしてやると更に強力になります。
要は磁束を増やして密にしてあげるわけです。
おわりに
今回は電磁石とは何か?が分かったところで、一旦区切りにしたいと思います。
自然の法則の面白さと、よくこんなことに気づいたなーと思わせられるお話ですよね。
次回は引き続き、モータ前哨戦ということで、電気と磁界の話を見て行きます。
電気が磁石になるのなら、逆に磁石も電気になるんじゃない?という、電磁誘導のお話です。
東北制御でした。