東日本と西日本で周波数が違うのはなぜか

こんにちは、東北制御です。

冬も終わって三月になり、すっかりと春の陽気ですね。
ポカポカです。自転車日和です。ついでに雑学日和ですね。
そんなわけで本日は、なぜ日本では50Hzと60Hz、二種類の周波数が使われるのか?というおはなしです。

周波数とは?

まずは周波数についてのおさらいをしましょう。こちらに関しては、電線第二回「電線が三本あるのはなぜ?」で触れましたね。
せっかくなのでもう一度確認しましょう。

周波数とは、交流が一秒間に行って帰ってくる回数のことを差します。
ちょっと分かりにくいので順を追って見てみましょう。

 

現在、送電には交流が用いられています。(交流の詳細については第二回をご覧ください。)
交流というのは電圧と電流が一定の周期で変化するものですが、この行って帰ってくるまでを一周期と呼びます。
周波数とは、一秒のうちに繰り返される周期の数のことを指します。


つまり、50Hzでは一秒間に50回、60Hzでは一秒間に60回波打っているわけです。
速度の桁が日常と噛み合わないので少し想像が付きませんね。
ですが私たちの使用している電気は、実は凄まじい速度でチカチカと点滅しているのです。
この速度が東日本と西日本で違っています。

 

 

なぜ東日本は50Hz、西日本は60Hzなのか

日本では、東と西で周波数が異なっています。
新潟県の糸魚川と静岡県の富士川を境に、日本を分断するような形で分かれています。(混在している地域もあります)

(※あくまで概要なので、実際はもっと細かに分かれています)

これは世界でも珍しいことで、周波数は国単位で統一されているのが一般的です。

なぜこんなことが起こってしまったのかというと、発端は明治時代にまで遡ります。
1890年代、発電機を導入するにあたり、東京電灯会社はドイツから、大阪電灯会社はアメリカから購入してしまったのです。
ですが、ドイツを始め、ヨーロッパでは50Hzが、アメリカでは60Hzの発電機が用いられていました。

このため、東京を中心とする東日本には50Hzが、大阪を中心とする西日本には60Hzが普及してしまったのです。

 

 

周波数の違いが起こす問題

周波数の違いによって起こる問題はいくつかあります。
その一つが、周波数の違いによって家電製品が使えなくなることです。
とはいえ最近の家電製品ならば概ね問題はないようですが、古い電化製品の場合には注意が必要です。
もし遠方へお引越しする場合には、手持ちの洗濯機や電子レンジが使えるか、予め確認しておくと安心です。
50Hzと60Hz共用のものならば問題ありませんが、どちらかでしか使えないものもあります。

また、電力の融通が利かないという大きな問題もあります。
仮に西日本で電力が不足したからといって、東日本の電気を供給することができないのです。
周波数が違うと、送りたくても送ることができません。

 

随分とややこしいですから、早く統一すればいいのに、と思われるかも知れません。
ですがすでにインフラは出来上がっており、仮に統一しようものなら莫大な費用と時間がかかってしまいます。
統一しようとする動きは何度もありましたが、結局、今でも東日本と西日本では周波数が分かれたままです。

とはいえ、最近では周波数変換所も作られたため、電力の融通は効くようになりました。
緊急時に東西で電力の供給ができるようになったのです。
ですが、変換所は全国にも三箇所のみで、融通できる電力にも制限があります。
決して周波数の問題が解消されたわけではないのです。

 

 

おわりに

本日は東日本と西日本の周波数の違いのおはなしでした。
100年以上前の出来事が100年を越えても尾を引いているわけですから、興味深いながらも悩ましいですね。

東北制御でした。

 

※地図画像はCraftMAPさんよりお借りさせていただきました。