直流とは?交流とは何が違う?

こんにちは、東北制御です。

電線第二回では交流についてお話しましたが、その時に直流という言葉が出てきたことを覚えていらっしゃるでしょうか。
本日はその直流に関するおはなしです。

直流と交流の違い

まず直流と交流って?と思われるかもしれません。
理科の時間に直列つなぎと並列つなぎ、という言葉を聞いたかと思いますが、あれとは無関係です。
直流と交流は、電気の流れ方に関する呼び名です。


直流と交流では、電気の流れ方、引いてはその性質が異なっています。

直流・・・電流・電圧共に変化せず、常に一定の向きで流れる。
交流・・・電流・電圧が変化し、向きを変化させながら流れる。

二者の違いはグラフで見ると分かりやすいです。

 

直流


直流には、電流・電圧共に変化せず、常に一定の向きで流れる性質があります。

直流に代表されるものは電池です。
極性は常に一定で、変動することはありません。繋いでいるうちにプラスがマイナスになったりはしませんね。
常に一定の電圧を維持しており、どの位置で測定しても同じ値になります。(直列回路・並列回路などの場合は除きますが、総和はいつも一定ですね。)
ただし、使用するほど電圧は低下していきます。

大半の家電製品は、直流で動作するようになっています。
扇風機など一部の家電では交流モーターが用いられることもありますが、多くは直流で動作します。
ですが、後述するようにコンセントは交流なので、コンセントから引いてきた電気を、家電内部で直流に変換し、使用しています。

 

交流


交流には、電流・電圧が変化し、向きを変化させながら流れる性質があります。

交流の代表がコンセントです。
こちらにはプラスとマイナスがありません。
電源コンセントはプラグをどっち向きに差そうが、問題なく動作しますね。
電池は+、-と指定されたとおりに差さなければ動きませんが、コンセントはお構いなしです。考えれば不思議なことですよね。

交流は電気の向きが変化するため、直流と違い、プラスマイナスを気にする必要はありません。
+になったり-になったりを繰り返すのが、交流なのです。


ここで面白いのは、プラスマイナスが変化することによって、電流の向きも変化するということです。
電気は+から-に流れる、と理科で習ったことは覚えていますか?
これは電気の法則ですが、交流においてもその性質は失われません。
つまり、交流においても電流は+から-に流れようとするのです。
すると、交流の特性であるプラスマイナスの変化に合わせて、電流の向きも変化するようになります。

これが、電気の向きが一定ではない理由です。

 

 

直流は何に使われる?


多くの場合、電化製品で使用されるのは直流です。

これは前述した性質に関係があります。直流は一定方向にしか流れませんが、交流は遂次向きを変化させます。
向きを変える交流の性質は、電化製品には不向きなのです。
そのため、大半は直流が使用されます。

加えて、蓄電も直流でしか行えません。
電池やバッテリーのように、「電気を保存しておいて使いたいときに使う」ためには直流を用いなければいけません。
電池というとお馴染みの単三電池が思い浮かびますが、携帯電話のバッテリーも電池です。スマートフォンはコンセントに繋いでいなくとも使えますね。
そう考えると、バッテリーがいかに多くの場所で使用されているか分かるかと思います。

ですから、私たちの手元で使用される電気の大半は直流と言えます。

 

 

送電も直流にしない理由

なら送電も直流で行えばいいじゃないの、と思われるかも知れませんが、
ここでTCSコラム『電線② 電線が三本あるのはなぜ?』と『高圧で送電する理由は?電力損失の謎』を思い出してください。
交流は長距離送電が得意です。
高圧で送電することが可能のため、電力損失も小さくて済み、効率よく送電ができます。
おまけに電線の数も少なくて済むため、大変経済的です。

電力損失ってなに?なんで高圧送電だと経済的なの?と思われた方は、TCSコラム『高圧で送電する理由は?電力損失の謎』をご覧ください。


また、交流は変圧をしやすいという特徴があります。
高圧で長距離送電を行い、家庭で使用するときには低圧に変圧して利用するわけですが、交流ですとこれが簡単に行えます。
加えて交流は直流に変換することも容易ですので、コンセントまで交流で、電化製品では直流に変換、ということができるのですね。
何かと扱いやすいため、送電には交流が用いられています。
(一方直流は変圧が難しいうえに、交流から直流への変換も難しいのです。)

 

 

直流と交流の歴史 直流VS交流

今では交流送電が当たり前となっていますが、かつてはそうではありませんでした。
発電の仕組みが整えられた際、送電に直流を使うか、交流を使うかで大きな論争が起こったのです。
直流を推し進めるエジソンと、交流での長距離送電を推すニコラ・テスラとジョージ・ウェスティングハウス。
どちらを普及させるかで、対立が起こりました。

ですが結局は、数km程度にしか送電できなかった直流発電に対し、100kmを越す送電を可能にした交流発電が勝利する形となりました。
直流は高圧送電が行えません。
非常に太い電線が必要になるうえに電力損失も大きく、長距離での送電には不向きだったのです。
一方長距離送電を可能にした交流は、広範囲への電力供給を行い、産業の発展に大きく貢献することになりました。

これが今にも続き、交流での送電が行われているのです。

 

 

おわりに

そんなわけで、直流に関するおはなしでした。
以前は名前だけ取り上げた直流でしたが、交流と比較してどんな存在か、お分かりいただけたでしょうか。

なお、直流は「Direct(直に) Current(流れる)」から、『DCと、
交流は「Alternating(交互に) Current(流れる)」から、『ACと呼ばれます。
驚くほど文字通りの訳ですね。
ですから、ACアダプターとかDCモーターという言葉が出てきたなら、それぞれ直流と交流を差しているわけです。

 

実際にACアダプターを見ると、こんな記述が確認できます。
入力はACで行われていて、出力=実際にパソコンに到達するのはDCなんですね。
加えて、前回で登場した周波数に関する記述も見受けられます。
(このアダプタは50Hz・60Hz共用のようです。)

 

こんな感じで、身の回りの電化製品を改めてチェックしてみると面白いかもしれませんね。
東北制御でした。