高圧で送電する理由は?電力損失の謎

こんにちは、東北制御です。
本日は「高圧で送電するのはなぜか?」というお話です。

第一回の電線編①にて、「低圧では遠くまで電気を運べない」とお話ししましたが、厳密にはちょっと違います。
今回はもうちょっと掘り下げて理由を見ていきたいと思います。

高圧送電なのは、電力損失を減らすため

結論として、高圧送電を行うのは、電力損失を減らすためです。
なら電力損失ってなに?どうして高圧だと電力損失を減らせるの?ということで、こちらについて説明していきたいと思います。

 

電気というのは、エネルギーの一部が熱に変換されてしまいます。
使いすぎた電化製品がアチアチになったり、使った後のモーターは熱を持っていたりしますよね。これは、電気が熱に変換されてしまった証拠です。
この無駄になってしまった電力、これを電力損失と呼びます。


電力損失というのは、流れる電流が大きくなればなるほど大きくなります。
少しだけジュールの法則を見てみましょう。

熱量=電流^2×抵抗×時間

この式からは「抵抗も時間も同じなら、電流の二乗分、多くの熱が発生する」ということが分かります。
ですので、電力損失を防ぐためには流れる電流を減らしてやる必要があるようです。

 

 

電力損失を小さくするためには

ここで理科の授業を思い出してください。

電力=電圧×電流

でしたよね。

よく聞く単語ながら電力ってそういやなんだ?と思われる方もいるかもしれませんが、電力とは電流が一定時間当たりにする仕事のことを差します。
単純に言えば電気をどれぐらい使ったか=電気にどれぐらい仕事をさせたかということです。
ですから、電力損失とは100人いた電流がなんの仕事を果たすでもなく、80人やら50人に減ってしまうようなものです。

極めてもったいないですね。


さて、上記の式より、もし同じ電力を使いたいと思ったのなら電圧を大きくすれば流れる電流を減らせることが分かります。
仮に600Wの電力を使う場合、

(1)電圧12V×電流50A=600W
(2)電圧100V×電流6A=600W

このどちらも同じことになります。
となれば、電力損失が少なくて済む高電圧で送電したほうが遥かに良いですね。

 

 

経済的な高圧送電


高圧送電だとさらにもう一つ、利点があります。それは電線が細くて済むということです。
電線の太さは流れる電流の大きさに比例します。電流がたくさん流れるならそれに見合った太くて重い電線を用意しなければなりません。

大量の電流を流すためには巨大な電線を使ったりもしますが、太い電線はそれだけお値段も高くなります。
そんな高価なものを日本中に張り巡らせようものなら、莫大な予算が必要になってしまいますね。
予算が必要ということはすなわち、電気代が高くなるということです。
ですから、私たちが快適に、かつ家計に優しい金額で使うためには、やはり高圧送電が効率的なのです。

 

ちなみに、低圧で送電する場合、あまりにも遠方だと、電力損失が送電量を上回ることが考えられます。ですからやはり低圧では遠くまで電気を運ぶことはできません。
「低圧では遠くまで電気を運べない」も間違いではないのです。

 

おわりに

そんなわけで、「高圧で送電するのはなぜか?」に対する解答は、「高圧で送電するのは電力損失が減らせてお得だから」でした。
何かとお得になるよう考え抜かれている送電なのでした。
電線が三本ある理由にしろ、様々な知恵が詰まっていますね。

東北制御でした。