配電② 単相3線式って?一番身近な配電方式!

こんにちは、東北制御です。
前回、配電① 配電!電気はどうやって家に届く?では配電についての概要をご説明しました。

今回はみなさんのお家でも使われ、もっとも身近な配電方法、単相3線式についてです。
これについてお話しする前に、根本的な疑問を解消しましょう。
それは、「そもそも電気ってどうやって引いてきてるの?」ということです。

電気はどうやって引く?

電気を引く、ということですが、低圧線をそのまま一本持ってきてお家に引き込めば電気は使えるようになるのでしょうか?
答えはNOです。

ここで前章第三回「鳥はなぜ感電しないのか?」を思い出してください。
電気は通り道がなければ決して流れてくれません。
ですから、行って帰る道、二本の電線がなければ電気を使うことはできないのです。
つまり、配電には最低二本の線が必要になります。


このように2本の線を使って配電することを単相交流と呼びます。
単相2線式とは二本の線を使った単相交流を差し、
単相3線式とは三本の線を使った単相交流を差します。

ですがちょっと待て、と思いませんか?
単相交流は二本の電線で行って帰る道を作る配電方式だと言いました。
にも関わらず、なんで線が三本あるんだ?

そんな疑問を氷解するべく、単相3線式の正体を探っていきましょう。

 

 

単相3線式の仕組み

(1)電位差は100Vと200Vの二つ

まず、単相三線式の構造を見てみましょう。
低圧線は、あの一本あたりに100Vまたは200Vの電流が流れています。今回の単相3線式では200Vの電線を使用します。
この200Vの電線を二本、引っ張ってきます。
この真ん中に中性線と呼ばれる線を加えたものが単相3線式です。

そしてこの中性線、接地されており、電圧は0です。


再度前章第三回「鳥はなぜ感電しないのか?」を思い出してください。
電気とは電位差があることによって流れるものだとご説明しました。
そして今回の中性線は無電圧ですから、200Vの真ん中に0Vの中性線が挟まれると、各場所の電位差はこんな感じになります。

この図から分かるように、単相3線式には、100Vの部分と200Vの部分があるのです。


(2)電気を取るには二線を繋ぐ

雀は二線を跨ぐと感電してしまうとご説明しました。
ですが、逆に電気を使いたい場合は二線を繋いでやれば電気を流すことができます。

 

(3)単相三線式の仕組み

以上二点を組み合わせて考えると、単相3線式ではこんな感じにすると電気を取ることができます。

この配電方式の良い所は、取り方によっては100Vも200Vも取れるということです。
端と中性線を取れば100Vの電流が使えますし、端と端を結べば200Vも使うことができます。

つまりそう、単相3線式は確かに二本の電線を使った単相交流なのです!
中性線によって三本になりましたが、実質の配電は二本の線で行っているのですね。

近年では扇風機や照明だけでなく、IHや床暖などたくさんの電気を使う機器が非常に増えました。
このこともあり、100Vも200Vも取れる単相3線式が主流になっているのです。

 

単相2線式

なお、単相2線式はこんな感じになります。

こちらでは100Vしか取れないうえ、電力の効率もあまりよくありません。
ですので尚のこと、現在では単相3線式が用いられるのですね。

 

 

まとめ

そんなわけで、単相3線式とは2+1の合計3本の電線を使って100Vと200Vを生み出す配電方式のことでした。
ちなみにこの3本の線はそれぞれ赤・白・黒の三色の電線で識別されます。中性線はで、他二線にはが使われます。

いかがでしたでしょうか?
普段私たちが使っている電気がどのようにしてやってきているかなんとなく理解できましたか?


次回は三本の線をフルに使用する配電方式、三相3線式についてです!
ですがその前に、理解を深めるため、大切なことを学んでおきましょう。
>>配電2.5 送電線が三本で済む理由は?【TCSコラム】

東北制御でした。