配電③ 三相3線式!単相3線式との違いは?
こんにちは、東北制御です。
前回、配電② 単相3線式って?一番身近な配電方式!では単相三線式について見ていきましたが、今回は三相3線式のお話です。
ご家庭を離れ、ちょっと馴染みは薄いけれど、私たちの生活とは切っても離せない存在です。
表記の仕方について
本題に入る前に、ここで表記のご紹介をします。
単相三線式は1φ3W、三相三線式は3φ3Wとも表記されます。(※φはファイと読みます)
単相が1φ、三相が3φと表され、Wとは線数を表します。三線なので3Wになるんですね。
単相3線式・三相3線式と並べて書くとまぎらわしいので、以降はこの表記も使用したいと思います。
三相3線式(3φ3W)の特徴
三相3線式とは、三本の電線を使った配電方式です。主にモータを動かす目的で利用されます。
大型の機械を使うためには三相交流をフルに使う必要があるため、三相3線式が用いられます。
日常で使用されるモータで最もポピュラーなのが、三相誘導電動機と呼ばれるモータです。原理を知らずとも、この名前を見れば相性の良さが分かりますよね。
モータを回転させる磁界を作り出すうえで、三相交流は非常に重要な役割を果たします。
(これついてはモータ編で解説しています。
【モータ編(5)】交流モータの原理を知ろう!三相誘導モータを分かりやすく解説【前編】
【モータ編(6)】交流モータの原理を知ろう!三相誘導モータを分かりやすく解説【後半】)
ここで、前回出てきた単相3線式と三相3線式の違いを比較してみましょう。
1φ3W | 3φ3W | |
線数 | 電線2本+中性線 | 電線3本 |
使用場所 | 家庭・公共施設 | 工場・公共施設 |
用途 | 照明・コンセントなど | モータなど |
電圧 | 100V・200V | 200V |
こう見ると違いがはっきりしますね。
1φ3Wが家庭など子規模な場所で使われるのに対し、3φ3Wは、単相よりも機械の大きさ・施設の規模共に大きな場所で利用されます。
また、使える電圧も200Vのみとなっております。
三相三線式はどうして200Vのみなのか
なんで200Vしか取れないの?と疑問に思われるかもしれません。単相3線式を理解していただけた方ならなおさらですね。
1φが3φになったわけですから、もっと凄い力が出るような気がしてしまいます。
ですが、ここで前回、配電2.5 送電線が三本で済む理由は?の出番です。
こちらで三相3線式はどんな風にして負荷と繋がれ、そしてどうやって線が省略されるのかを見ていきましたね。
その中で出てきたのはこんな図でした。
(なお、実際に使用されるのはこんな形です。前回出てきたスター結線ですね。)
図から分かるように、三相3線式は電線一本に一つの負荷を繋いで使われます。(※負荷は三つで一つと見なされます)
つまり、二線に一つの負荷を繋ぐ1φ3Wと、三本の線に一つずつ負荷を繋ぐ3φ3Wは、まったく別のものなのです。
ですから、単相3線式で100Vと200Vが取れたからといって、三相3線式で200Vと400Vが取れるというわけではありません。
三相3線式はあくまでモーターの使用に特化した方式であり、「単相より高い電圧が取れる方式」ではないのです。
おわりに
そんなわけで三相3線式のお話でした。
さて、配電方式についてはここまでで一旦終了となります。
電線から電気を引くにも様々な種類があることを知っていただけましたでしょうか?
何気なく使用している電気も、たくさんの工夫や多くの決め事があるのですから、なんだか驚きですよね。
次回以降も定期的にコラムを更新して参りますので、ぜひ確認してみてくださいね!
>>【モータ編(1)】誰でもわかる電磁石!磁界と電気の関係を知る【TCSコラム】
>>電線① 電線には種類がある?高圧線と低圧線【TCSコラム】
>>高圧で送電する理由は?電力損失の謎【TCSコラム】
東北制御でした。